家電を雷から守る!延長コードの「雷ガード」とは何か?

防災

日常生活で何気なく使っている延長コード。その中には「雷ガード付き」や「サージプロテクタ付き」と記載されている製品がある。この”雷ガード”、一体何のために存在し、どのような効果があるのだろうか?この記事では雷ガードの仕組みや必要性、選び方や注意点までを、詳しく解説!

1. 雷ガードとは何か?

雷ガード(またはサージプロテクター)は、落雷や電力供給の急変によって生じる電圧の異常(サージ)から、接続された電気機器を保護するための装置である。

特に日本のように雷が多く発生する地域では、落雷によって屋外の電線に高電圧が流れ込み、その影響が家庭のコンセントにまで及ぶことがある。これがいわゆる「誘導雷」や「過電圧サージ」であり、電子機器を一瞬で故障させてしまうことも少なくない。

雷ガード付きの延長コードは、そのようなサージ電圧を吸収・抑制する機能を備えており、家電やPC、AV機器、ネットワーク機器を守るために極めて有効である。

2. 雷サージとは何か?

雷サージとは、雷が地表や電線、建物などに落ちた際に発生する、非常に短時間(数マイクロ秒)かつ高電圧の異常電流のことを指す。

落雷が直接建物に落ちなくても、近くの電柱や地面に落ちた雷の電流が配電線などを通じて家庭内の配線に伝わる可能性がある。このとき発生する電圧は数千ボルトから数万ボルトにもなり、一般的な家庭用電気機器(定格100V)では耐えきれず、回路が焼き切れたり、内部部品が破損したりする。

雷ガードは、この異常な高電圧を素早く吸収・逃がすことで、電気機器を守ってくれる存在なのである。

3. 雷ガードの仕組み

雷ガードの中には、主に「バリスタ」と呼ばれる電子部品が組み込まれている。

バリスタ(VARISTOR)とは?

バリスタは、通常時には高い抵抗を持つが、ある電圧を超えると急激に抵抗が低下し、電流を流して電圧を抑える性質を持つ。これによって異常電圧(雷サージ)を吸収し、地面に逃す役割を果たす。

たとえば、通常の電源供給時(100V前後)には電流を遮断しているが、数千ボルトのサージが加わると即座に反応し、回路を守る。

ガスアレスタ

高性能な雷ガード付き機器には、バリスタのほかに「ガスアレスタ」と呼ばれる部品も使われている。これはガスの放電特性を利用して、さらに大きなサージにも対応できる。

4. 雷ガードの必要性

パソコンやNAS、テレビ、モデムを守る

現代の家庭では、多くの精密機器がコンセントに常時接続されている。パソコンやネットワークHDD(NAS)、液晶テレビ、Wi-Fiルーター、ゲーム機などは、雷サージの影響を受けると致命的なダメージを負う可能性がある。

雷ガードを使用することで、これらの高価で大切な機器を一瞬の過電圧から守ることができる。

データの損失防止

特にパソコンやサーバー機器の場合、機器の故障と同時に、内部のデータが損失する危険性も高い。雷ガードは物理的な破損を防ぐだけでなく、間接的にデータ保護の役割も果たしている。

火災予防にも有効

サージによって電子部品が過熱し、発火の原因となるケースもある。雷ガードを用いることで、そうした二次被害も未然に防げる。

5. 雷ガード付き製品の選び方

JIS規格に適合した製品を選ぶ

信頼性の高い雷ガードを選ぶ際には、日本産業規格(JIS)に適合していることを確認することが大切。パッケージに「JIS C5381-1」や「SPDクラスII適合」などと記載されているものは、一定の雷サージ試験をクリアしている。

制限電圧とサージ耐量に注目

製品ごとに「制限電圧」や「最大サージ耐量」がスペックとして表示されていることがある。制限電圧が低く、サージ耐量が高いほど、保護性能は高い。

例:制限電圧600V/最大サージ電流6,500Aなど

使用環境に応じてポート数や形状を選ぶ

自宅のPC周りには6口以上の多口タイプが便利だが、寝室やキッチンなどではコンパクトタイプが使いやすい。雷ガードはポートの多さとは無関係なので、用途に応じた選択を。

6. 使用上の注意点

永久的ではない保護性能

雷ガードは使い捨てではないが、永久にサージを吸収し続けられるわけではない。何度も大きなサージを受けると、内部のバリスタは劣化し、最終的には保護機能が低下する。

メーカーによっては、サージ吸収容量の限界を超えた場合に警告ランプが点灯する仕様になっている製品もある。

雷ガードの寿命

一般的に、雷ガードの寿命は5年程度とされている。目に見える異常がなくても、定期的に買い替えることが推奨される。

落雷が激しい地域ではUPSも併用を

雷被害のリスクが特に高い地域や、高価な機器を使用している場合は、無停電電源装置(UPS)との併用も有効である。UPSは電源断対策にもなるため、業務用途では特に有用だ。

7. 雷ガードは本当に効果があるのか?

実際のところ、雷ガードが完全にすべての落雷から保護してくれるわけではない。直撃雷など、極端な条件下では防ぎきれないこともある。

しかし、電柱や近隣への誘導雷といった、比較的一般的なケースであれば、雷ガードは確実に保護効果を発揮する。

特に数千円程度の延長コードで数十万円の被害を防げると考えれば、その費用対効果は極めて高いと言えるだろう。

まとめ

雷ガード付きの延長コードは、現代の家庭やオフィス環境において欠かせない防御ツールである。雷サージによる突然の機器故障やデータ消失といった被害を防ぐためにも、信頼できる製品を選び、定期的な交換を忘れずに行いたい。

日々の安心は、目に見えない部分の備えから始まる。あなたの大切な機器を守るために、今こそ雷ガードを見直してみよう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました